P・クルーグマン 『信頼と言う名の妖精を捜して』 緊縮財政は経済の信頼性をもたらし雇用を増やす?

さて、今回も、The New York TimesのP・クルーグマン教授のブログ記事から。タイトルは“In Search of the Confidence Fairy”直訳すると「信頼妖精を探して」。「妖精」って、多分「夢物語」みたいな意味だと思う。

今回は、原文と並列してみた。




In Search of the Confidence Fairy
信頼と言う名の妖精を捜して
March 3, 2011, 12:48 pm                 By Paul Krugman

In the debate over the budget, Republicans seem to be leaning on the claim that austerity will actually increase employment, because it will raise business confidence; at least that’s what John Taylor seems to be saying.

予算についての議論において、共和党は、緊縮財政が本当に雇用を増やすと言う主張に傾いているようです、その訳は、緊縮財政は企業の信頼性を上げるからと言うのです;少なくとも、ジョンテイラーはそのように言っているようです。

Paul Krugman教授

But how’s that going in Britain, where the Cameron austerity program was supposed to lead the way?

しかし、英国はどうだったでしょう、キャメロンの緊縮財政政策は思ったような方向へ向かったでしょうか?


Most of the discussion of Britain I’ve seen focuses on GDP numbers, with the debate then centering on how much of the decline in the 4th quarter was weather-related. But a lot of things affect GDP. Why not look directly at confidence? The BDO has a convenient survey of business optimism (pdf); numbers for December and January here. Here’s what it looks like:

英国での議論の殆どは、わたしの観てきたところGDP係数に焦点があてられています、ですから、一連の議論で、どれ程の第4四半期の落ち込みがあったかに集中する様は、まるで天気予報のようです。しかし、多くの要因がGDPに影響を及ぼすのです。なぜ信頼に集中して見ないのですか?BDO[1]には、ビジネス楽観主義に便利な調査(pdf)があります;12月と1月の係数はココ。それはどの様なものなのか、ここに示されています:

BDO O-I


Austerity seems to have hurt, not helped, business confidence; as the BDO says, “Private sector unprepared to fill the hole left by public sector cuts.”

緊縮財政は、経済の信頼性を、助けるのではなく傷つけたようです;BDOが「民間部門は、公共部門カットによって空いた穴を埋める準備ができていなかった」と言うように。


Why do we think the US experience — with the GOP proposals far less serious and responsible than Cameron’s — would be any better?

なぜ、わたしたちは合衆国が-キャメロンよりも遥かに真面目でも無く責任感も無い共和党の提案によって-より良くなると考えるのでしょうか?
(http://krugman.blogs.nytimes.com/ 参)

※訳注
BDO[1]:BDOインターナショナル(世界五大会計事務所の一つ)。




キャメロン首相の「緊縮財政」は、2010年に、

『英国のキャメロン政権は10月20日、財政再建のため各省庁の歳出を最大で40%減らす「包括的歳出見直し」を公表した。2015年までに830億ポンド(約10兆6000億円)の赤字を削減。192の特殊法人を廃止し、公的部門600万人中、49万人の人員を減らす。日本とは異なる大胆かつ迅速な“事業仕分け”とはいえ、国内ではさっそく、見直しに猛反発するデモも起きている。

■「包括的歳出見直し」公表
「困難な道のりだが(歳出見直しをすれば)より良い将来が待っているだろう」
デービッド・キャメロン英首相(44)は今回の構想発表に際し、苦渋の表情を浮かべてこう強調した。

英国では今年、金融危機への対応やその後の景気対策で、財政赤字が1550億ポンド(約19兆8000億円)にまで膨張。政府債務残高は2~3年後に9000億ポンド(約114兆9000億円)と、国内総生産(GDP)の70%に達する見通しだ。

今回の見直しをめぐっては、「財政赤字の削減は避けられない」と、ジョージ・オズボーン財務相が中心となって約3カ月間、各閣僚と丁々発止の協議を続けてきた。各省庁への削減は平均19%。途中、国防省幹部がキャメロン首相に「国の安全をおざなりにできない」と直訴する騒ぎも起きた』
(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/europe/454007/ 参)

2011年の1月の「ダボス会議」でも、その姿勢は崩さず、28日には、キャメロン首相は先進国で最も厳しい緊縮財政によって「国債の格付けをトリプルAに維持することができた」と自信をのぞかせている。しかし、国民への「受け」は当然良く無く、その支持率は急降下している。ガーディアン紙によれば、

『同紙が5月の連立内閣発足時に行った調査では、59%が連立を支持していた。だが、今回の調査で両党による連立は「良い」と答えたのは回答者の43%で、「良いと思わない」との回答が47%と逆転。また32%が、現政権の政策決定について「不満」と答え』ていると書かれている。またここに来て、キャメロン政権は、英国立経済社会研究所(NIESR)から、

『2月1日(ブルームバーグ):キャメロン英首相は景気回復を後押しつつ、イングランド銀行(英中央銀行)がインフレに対応できるように、財政赤字削減策を先送りすべきだ-。英国立経済社会研究所(NIESR)がこうした考えを示した。
NIESRは1日公表したリポートで、キャメロン連立政権は4月から始まる歳出削減計画を延期し、2016年までに財政赤字をほぼ解消する狙いで、3年以内に増税すべきだと指摘した。

NIESRのレイ・バレル所長代行はロンドンで記者団に対し、「別の財政措置を実施すれば効果を上げる見込みはある。また、現段階で利上げを実施しても成長への影響は極めて小さいとみられる」と述べた。

野党・労働党は、政府が性急過ぎる緊縮財政によって景気回復を損ねる危険を冒していると主張しているが、キャメロン首相やオズボーン財務相は先週、財政赤字削減計画を堅持する方針を示した。』
(http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=adm2E7lYWptI 参)


と指摘を受けている。なんか、日本を見ているようで、身につまされるように感じる。それでも「鉄の男」は意志を曲げないのですね。英国は言っても、「GDPの70%」ですよ。日本は「GDPの200%に近い」のではないでしょうか? ただ、「財政赤字をそこまで膨らませた原因と責任」ですよね。英国の場合と、日本の場合は「違う」と思いますが、これは「ちゃんとしたデータで、統計分析」するべきですね。

で、米国も、共和党が同様の「緊縮財政」を言い出してるみたい。「景気が悪い時に緊縮財政をとれば、ますます景気が悪くなる」のは当たり前の話ですが、ただ「どこまでも財源の裏付け無しに借金財政し続けることが出来るのか」と言えば、それは「出来ない」。しかし、一国民(多分、殆どの国民)としては、(英国のことは良く解りませんが)、「垂れ流しのバラマキ放漫経営」の付けを「誰も責任も取ることなく」、国民に(増税とか)押しつけられるのは納得できない。特に、「不要な箱物-殆ど使わない代物」や「不公平な補助金や援助金」、それに儲ける時は自分たちの懐を肥やしながら(当然、高率の儲けのあるところには必ず高いリスクがあるのは当たり前)、状況が変わって潰れかかると「公金を注入」(これって、リスクだけ国民に転嫁させてるってことですよね)される民間企業(銀行もです)。何時も「ミルク注入され続ける」特殊法人等の天下り団体。

こんな事を、続けておきながら、最後は「国民に勘定書」を持って来るのは、許しがたい。

確かに、国民も悪い所はある。「高速道路1000円」とか「子供手当」とか、「定額給付金」とかに踊らされて、投票したりする人も居るのだろうなー。でも、本当は、こんなのは「税制」でやるべきだと思う。なぜなら、結局は「税金還付」(まあ、「所得の再分配」と言うのなら、ある程度は認めても良いのかもしれないけど、これ、本当は「非常に歪んだ再分配」になる)、だけど、「手続き」に「無駄なコスト」が掛るから、だって、「増減税」なら、「税務署」が、「いつもやってる業務+α」くらいのコストで済むけど、「現金をばら撒こう」とすると、それにかかる「人件費」や「事務費」や「通信費」や「場所代」とか凄く必追うでしょ。もちろん、それに携わる人にとっては「増収」になったり、場合によったら「一時雇用」も増えるかもしれない。けど、こんなの無駄。税金の無駄遣いを増やすだけ。

と、なんか、話がズレてきてしまいましたが、本当に「議論」するべき「問題」はいっぱいある。そして、実際に「改善実行」するべき事も。

しかし、「BOD Optimism Index」なんて「指標」があったのは、ある意味「驚き」。「楽観」を数値化するって、どうやってるのだろう? 一つ「お勉強」になりました^^

※今回も、P・クルーグマン教授のブログ翻訳は管理者の「拙訳」です。誤訳を指摘訂正していただければ、非常にありがたいです。
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現代の閉塞感のある世界がもう少しだけ住みやすくなれば良いなぁ、などと考えております。今の状況の延長線を自分たちの子供たちや孫たちへバトンを渡すのは余りにも無責任だと思っています。大学は工学系卒。国立K大学の経済学研究科大学院修士。博士課程考慮中…。この国の未来への良きシナリオを描きたいと思いトボトボと歩いてるって感じです。ただ最近は、当方の怠慢のせいでtwitterまとめ、或いは「忘備録」化してます…。しかし、同志さんたち大歓迎です。

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