「少子化対策と子ども手当」等について

日本は「少子化」に頭を悩ませています。政府は「少子化担当大臣」まで設けて、少子化対策に乗り出す姿勢を見せ、その対策の一環として「子ども手当」と言う「補助金」を交付しています。果たしてこの『政策』の有効性はどうなのでしょうか? 読売新聞電子版に次のような記事が掲載されていました。

子ども手当、使い道のトップは貯蓄・保険料

今年6月に初めて支給された子ども手当の使い道で、最も多かったのは、「子どもの将来のための貯蓄・保険料」で、41・6%に上ったことが、厚生労働省が7日に発表した調査結果で明らかになった。
「支給による家庭の変化」としては、8・5%が「子どもの数を増やす計画を立てた」と答えた。
手当は、中学生以下を対象に、1人あたり月1万3000円支給された。使い道の調査は複数回答で、2位以下は「子どもの衣類・服飾雑貨費」(16・4%)、「子どもの学校外教育費」(16・3%)と続き、子どものために使ったとの回答が多かった。ただ、「日常生活費」(13・8%)や「家族の遊興費」(6・4%)、「ローン・借金の返済」(1・8%)などの目的外の使用もあった。「家庭の変化」では、69・5%が「子どもの数を増やす計画は立てなかった」と回答した。
 調査は今年8~9月の間、受給者1万183人にインターネットを通じて行った。
(2010年12月8日01時40分 読売新聞)』
(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101207-OYT1T00823.htm 参)

国立社会保障・人口問題研究所(http://www.ipss.go.jp/)の推計によれば、

『人口推計のスタート時点である平成12(2000)年の日本の総人口は同年の国勢調査によれば1億2,693万人であった。中位推計の結果に基づけば、この総人口は今後も緩やかに増加し、平成18(2006)年に1億2,774万人でピークに達した後、以後長期の人口減少過程に入る。平成25(2013)年にはほぼ現在の人口規模に戻り、平成62(2050)年にはおよそ1億60万人になるものと予測される。
高位推計によれば、総人口は、中位推計よりやや遅れて、平成21(2009)年に1億2,815万人でピークに達する。そして、それ以降は減少に転じ平成62(2050)年には1億825万人に達するものと見込まれる。
一方、低位推計では平成16(2004)年に1億2,748万人でピークに達し、以後減少して平成62(2050)年には9,203万人に達する。
 このように日本の人口はまもなく人口減少時代に突入し、右肩上がりの人口増加の趨勢は終焉する。日本の出生率が1970年代半ばから人口を一定の規模で保持する水準(人口置換水準、合計特殊出生率で2.08前後の水準)を大きく割り込んでいるため、このような過去四半世紀続いた低出生率水準と今後の見通しは今世紀初頭から始まる人口減少をほぼ避けることの出来ない現象としている。』
(http://www.ipss.go.jp/pp-newest/j/newest02/1/suikei_g.html 参)

問題は、「少子化」と同時に「高齢化」が進み、労働人口が減る一方で、労働力にならない(むしろ労働者の負担になる)高齢者が増え、その「生活保障」、病気・介護などの「福祉費用」の急激な増加に就労者がその負担に耐えられないことだという事は容易に解ることです。だからこその「少子化」対策であるはずなのですが、このような「小手先」の補助金(本質的には“減税”ですね)が、果たして『根本的問題解決』に繋がるのかと言うことですね。

読売新聞の記事の数字を見る限り、
「あまり効果は無い」
と言えそうですね。
経済学的な一般論から言えばこのような補助金(減税)は、社会に歪を作り出すので、あまり好ましい政策とは言えないでしょう(わたしはこの国は通常よりも『死重損失』がかなり大きいと推測しています)。

「子どもの数を増やす計画を立てた」と答えたのは、8・5%。
「子どもの数を増やす計画は立てなかった」が69・5%。

この数字を見て、「効果があった」と評価するべきなのかは疑問です。問題は、むしろ、

「子どもの将来のための貯蓄・保険料」と答えた人が、41・6%と多かったことと、「日常生活費」(13・8%)や「家族の遊興費」(6・4%)、「ローン・借金の返済」(1・8%)などの目的外の使用もあった。ことだと思います。

この数字から読み取れる事は、「子ども手当」は「子どもを産む」インセンティブになっていないことが先ず第一点。そして、こちらの方が重要だと思われますが、「子どもの将来」を心配して「貯蓄・保険料」に回した人が41・6%、さらには「今の生活のため」に使った人が22%も居たことです。これらを併せると、63.6%にもなります。

問題は、『この国の現在と将来の不安』にあるのであって、そのために「将来に借金」(国債の増発)をしてどうなるのでしょうか? (先に貰った分を、彼らは数倍にして返さなければならないとしたら、彼らは未来の『消費』をギリギリまで抑えざるを得なくなります。これも経済学の基本です)

答えはここにあります。国民は『この国の現在と将来に不安を持っている』と言うことです。それを取り除かなければ『根本問題』は解決しないでしょう。

本当は『人口減少』は先進国であれば、どこでも発生する問題です。ただ、『人口減少』よりも問題なのは、それに伴って生じる『人口ピラミッドの逆転現象』ですよね。これは確かに大変な問題ではあります。まるで『お年寄りばかりの過疎村』状態ですよね。これでは『国家』は衰退して行っちゃいますね。

ただ、『少子化問題』に対して今の『政府の政策』は殆どが内向き、と言うか『政権維持』や『選挙対策』のための近視眼的な『人気取りバラマキ政策』と言わざるを得ません。しかも、その挙句には「財源が不足」し「このままでは財政が破綻する恐れがあるので、消費税の増税を考慮しなければならない」と、これまた逆に『政権崩壊』につながりかねない不人気な『増税』を口にしなければならない。

本当に示すべきは、国家の生き残り戦略、『国家戦略』(といって武力戦略では全くありませんよ)。「現在と将来の不安を無くす政策」の事です。

ところで、平成10年度の子ども手当ては予算額が2兆2554億円。この経済効果は幾らだったのでしょうか? 菅首相が知らなかった「乗数効果」を推計すると、「子ども手当」の消費性向は0.53程度ですから、2兆2554億円×1/(1-0.53)=4兆7987億円。概ね4兆8000億円程度はあった訳ですね。ただ、もっと先行きに不安がなければ、消費性向はもっと高いはずですね。しかし「経済効果を狙った政策ではない」と言われれば、この議論もそれまでなのですけど、わたしは少子化を止めるには(実際は緩やかにするだけですけど)、「子ども手当」よりも「不況対策」「雇用対策」などの経済対策の方が余程、少子化の歯止めとしては有効だと思うのです。

「お金は経済の血液」と言うのは、もう、その通りだと思います。今、日本は血液循環が悪すぎる状態です。まあ、『病気』の状態ですね。景気の良さは『金回り』の良さです。一定期間にお金、Mが一回転してもMですけど、これがN回転すればN×M、つまりは持ち金のN倍の効果があるということになります。例えば100万円は一巡して100万円でも10回転すればその10倍、1000万円の効果があるという事になります。非常に単純化した言い方ですけどね。

或いは、滞った『お金』を動かすために、一時的に『市中のお金を増やしてやる』かですね(これに日銀は非常に『抵抗感』を感じるようです。確かに、日銀の心配も解らない事はありませんが、経済が過熱-過剰なインフレ-した時には、日銀は優秀ですから直ぐに過剰なインフレを抑えることが可能だと思います)。

兎に角、『政治主導』と言いながら、なぜ政治家さん達の中に『専門家』がいらっしゃらないのか不思議で仕方がありません。確かに『庶民目線』も必要ですが、『政策』はそれぞれの『専門家』でなければ解らないでしょう。確かに『専門家』の間でも議論が大きく分かれる事は多いですけど、「芸能人」や「有名スポーツ選手」とかを議員にするのは『政治主導』とはかけ離れた、単なる『選挙対策』にしか過ぎないと憂慮します(もちろん、政治・経済政策のプロの方もいらっしゃるかも知れませんから、そういう方は別ですけどね)。まあ、そういう「人寄せパンダ」に『一票』を投じる『国民』も国民なんですけどね。

この国にはもはや『緊張感』が無いのか、ここまで『国家』の状況が停滞しても、未だに『国会』は、政策を戦わすと言うよりも、「権力闘争の場」で、多額の国費を使って与野党がお互いに「足の引っ張り合い」をし続けていますね~。個人的には、『国会』をもっと建設的な政策論議の場にして欲しいです。「永田町」と「霞が関」だけが『世界』ではないですよね。

それと、幾ら『全会一致』が良いからと言って、シンパだけでは議論になりません。やはり同数の異なった意見の持ち主が入って意見を闘わすべきでしょう。「それではいつまで経っても意見が纏まらない」と言う反論が返ってきそうですけど、それを最終的に纏めるのが政治指導者であるし、決定にあたっては自らの『政治生命』をかけて決定して欲しいです。反対派も姿勢を正すべきですね。「反対のための反対はやめる」。お互いにベター(ベストは『神様』でも無い限り解らないですから)な『政策』に集約する努力をする。お互いに『是々非々』で臨むことを基本姿勢にするべきだと思います。そしてなにより『ジャッジ』(最終決定者)は責任を持って「公正」にジャッジする。これが出来ない限りこの国は沈んで行くと思われてなりません。そして、残念ながら、現状ではソレが出来ていないと思います。
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現代の閉塞感のある世界がもう少しだけ住みやすくなれば良いなぁ、などと考えております。今の状況の延長線を自分たちの子供たちや孫たちへバトンを渡すのは余りにも無責任だと思っています。大学は工学系卒。国立K大学の経済学研究科大学院修士。博士課程考慮中…。この国の未来への良きシナリオを描きたいと思いトボトボと歩いてるって感じです。ただ最近は、当方の怠慢のせいでtwitterまとめ、或いは「忘備録」化してます…。しかし、同志さんたち大歓迎です。

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