「リカードの中立命題」&本当にそうなってるの?

今回は軽く(?)「経済学」のお話…と言うか、「わたしが引っ掛かっている事の一つ」(兎に角、色々と引っかかって困ってしまう 笑)

リカードの中立命題
公債の発行は増税の代替策にすぎないので、政府支出を公債でまかなっても租税でまかなっても、経済的効果は等しいというリカードの説。

新古典派によれば、Y:一定の基で次式(で示されるモデル)が成り立つ。以下、「リカードの中立命題」を2期モデルで導出してみる。

いきなり「数学」になってしまうけど、数式嫌いな人は「結果」だけ見て。でもこれはまだ中高校レベルの数学でも十分理解出来る範囲だから、できれば式を追ってみて。

(1)国債発行無しの場合
政府行動
G=T ………①
G=T ………②
家計行動
Y-T=C+S ………③
Y+(1+r)S-T=C ………④
 
③式をS1を求める式にすれば、
S= Y-T-C ………⑤
これを④式に代入すれば、
C=Y+(1+r)(Y-T-C)-T ………⑥
この式を整理すれば、
C=-(1+r)C+Y+(1+r)Y-{(1+r)T+T}………⑦

(2)国債発行(減税有り)の場合
政府行動
G=(T-⊿B)+⊿B ………①´
G+(1+r)⊿B =T+(1+r)⊿B ………②´
家計行動
Y-(T-⊿B)=C+S ………③´
Y+(1+r)S-(1+r)⊿B-T=C ………④´

(1)の場合と同様に、③´式をS1を求める式にすれば、
S= Y-(T-⊿B)-C ………⑤´
 これを、④´式に代入すれば、
C=Y+(1+r){Y-(T-⊿B)-C}-(1+r)⊿B -T ………⑥´
 この式を整理すれば、
C=Y+(1+r)Y-(1+r)T+(1+r)⊿B-(1+r)C-(1+r)⊿B-T
 から、
C=-(1+r)C+Y+(1+r)Y-{(1+r)T+T}………⑦´

⑦式と⑦´式は同じ式であることが解る。
つまり、政府支出額を税で賄おうと、税+国債で賄おうと、同じである事が解る。
ここで、G=Tであり、G=Tであるので、「税」=「政府行動」であるから、⑦式及び⑦´式は、
C=-(1+r)C+Y+(1+r)Y-{(1+r)G+G}
と読み替える事が出来る。

これを「リカードの中立命題」と言う。

ここで、Gは1期の政府支出。Tは1期の税。Gは2期目の政府支出。Tは2期目の税。またCは1期目の消費。Sは1期目の貯蓄。またCは2期目の消費。⊿Bは国債発行額でrは実質利子率。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ところで、この「リカードの中立命題」を教科書的に言えば、

「政府支出を公債でまかなっても租税でまかなっても、消費に影響はない」

と言う事で、これを誤解して、

「財政政策は消費を増やさないので、GDPを増加させる効果はない」

と発言している、著名なエコノミストの方が居ると、うちのBOSSが言ってた。

しかし、それは「誤解」であることは、経験的(実証的)にも解る事だし、

Y=C+I+G+純輸出入

であり(より単純にはY=C+Iと理解していれば良いだろう)、IやGが上昇すれば、当然Y(GDP)は上昇する。


ただ、確かに、「バローの中立命題」を考えると、「国債はいつか払わなければならない将来の税金」であり、その「負債を、子孫に押し付けるのか!」なんて考えてしまう。


でも、少なくとも「短期的」には効果がある訳だし、上手くすれば「パイを膨らませる」きっかけにすることが出来るかも知れない。

教科書的には「国債は資産と言うよりは、将来支払わなければならない増税分」

と言う事になるようだけど。マクロ的にはそうでも、まさか国民が均等に「国債」を買っている訳でも無いし、「やはり国債を買う人にとっては『資産』と見てるよな~」と思う。

ところで、わたしが「引っかかる」のは、

「政府行動って、G=(T-⊿B)+⊿B では無くて、G=T+⊿B じゃないの?」

って事。確かに、Gが足りなければ「即、⊿B分増税」って事になるのかも知れないけど、まあ、政治的に言えば「増税」したら政権が持たないので、増税は本当はやりたくないでしょうね。

まぁ、「リカードの中立命題」の場合は、Gが決まってるので、遠慮なく「増税」って事になる(これはモデルの定義がそうだから当然)。

で、実際「日本の租税収入、その他収入と新規国債発行額」を財務省の統計資料から作成してみると、下の図のようなグラフになる。

日本の租税収入、その他収入と新規国債発行額


ここで、付け加えるべきは、
① 1993年減税(補正予算にて、所得税・住民税の特別減税、所得税の恒久減税)実施。
② 1998年1年限りの減税。また補正予算では(所得税・住民税の特別減税、所得税の恒久減税)施行。
③ 2008年「バリア・フリー改修促進減税」施行。
④ 2009年「住宅ローン減税・省エネ改修促進減税(5年間)」施行。

 で確かに、1998年は新規国債発行額は増加している。でも、2008年は横ばいと言うかむしろ新規国債の発行は手控えられている(1993年までは追えませんでした)。
2008年は「新規国債」の発行は横ばい或いは若干低下。2009年度ではからは「新規国債」の発行額が上昇していく。

今回は、あまり時間がなかったので、詳細の追及は無理だったけど、2008年からの「新規国債」発行の増加は、「民間最終消費支出」が語るように、「国民の所得そのものが減少したために(2007年からですね)、その分の「補填」的な意味合いがあるのでは考えてしまう。実際、「租税収入」は「消費」に比例して低下している。

そもそも、2008年の「バリア・フリー改修促進減税」や2009年の「住宅ローン減税・省エネ改修促進減税(5年間)」なんかは、最近の「エコカー減税」やエコ家電減税などの、「減税」(と言えば減税だけど)と言うよりは「販促」的な面が強いように感じる。

しかし、グラフからも(実感からも?)解るように、「常に税収は不足」していたのだ。もちろん、そこに「国と地方による過度の公共投資」による「資源の最適(適切)な分配の失敗」があったかも知れない。

それにしても、今回「引っかかった」のは、

「現実には、新規国債発行にあたって本当に『減税』してるの?」

って事(疑問)だったし。「減税する程、政府財政は健全(今や国と地方合わせた債務は1000兆円を超えている)なの?」

って事。

なんか「だらだらと、国債発行してる(未来の増税です)って感じが」否めない。国民の「総所得」が減少してきて、「消費」も冷え込んで、それで「国債」発行して、「財政の立て直し」(つまりは日本の「生産性」の向上に資するような投資)をするのなら良いけど、なんか「足らずは、ホイ、国債で」みたいな「惰性」に落ち込んでいるような気がする。

いま、この国を立て直す政策は「政局絡みの経済政策」ではなくて、中長期的に「パイを膨らませる」事だろう。それには(苦しいやりくりの中だとは思うけど)、低下傾向にある「この国の教育費(もちろん、それは『質』につながらなければ意味はない)」を充実させ、或いは、教育制度をもう一度根本から考え直して、「効率性」(あんまり良い印象は受けないかも知れませんね)を上げ、『生産性』の向上に貢献出来る「人材」を育てる事だ。

「いかに、将来に繋がる『生産性の向上』を獲得するか」

と言う事だと思う。

現在のこの国の「リーダー」達に、そんな「意識」はあるのだろうか?

※ 今回のエントリは「学術的」に厳密なモノではありません。ただ、一つの「経済理論モデル」に対して、「現実に行われている事」が「違ってるのではないの!?」と言う、素朴な疑問から、前期テスト前の僅かな空き時間を使って、少しだけ「調査」して、感じた事を書いただけです。
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現代の閉塞感のある世界がもう少しだけ住みやすくなれば良いなぁ、などと考えております。今の状況の延長線を自分たちの子供たちや孫たちへバトンを渡すのは余りにも無責任だと思っています。大学は工学系卒。国立K大学の経済学研究科大学院修士。博士課程考慮中…。この国の未来への良きシナリオを描きたいと思いトボトボと歩いてるって感じです。ただ最近は、当方の怠慢のせいでtwitterまとめ、或いは「忘備録」化してます…。しかし、同志さんたち大歓迎です。

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